はじめに
狂犬病とは、狂犬病ウイルスに感染した犬やその他の動物に咬まれることで引き起こされる病気です。犬や人間だけの病気ではなく、人を含めた全ての哺乳類が感染し、発病するとほぼ100%死亡すると言われる極めて危険なウイルス性の感染症です。
狂犬病の感染を防ぐためには、人間が予防接種を受けるだけでなく、ペットとして飼われている犬に対して予防接種を行うことが重要になります。
狂犬病ウイルスとは?
狂犬病ウイルスは、狂犬病ウイルスに感染している動物に噛まれ、唾液中に排出されるウイルスが傷口より体内に侵入することにより感染します。体内に侵入したウイルスは、末梢神経を介して中枢神経に達し、そこで大量に増えてさらに各神経組織へ伝わります。
潜伏期間は、平均で1~3ヶ月と言われていますが、時には数年間経ってから発病するケースも報告されています。発病すると、物事に極めて過敏になり、狂躁状態となって目の前にあるものに噛みつくなどの症状が現れます。症状が進行すると、全身麻痺が起こり、最後は昏睡状態になって死亡します。
水を飲む時に、咽喉頭部の麻痺により水が飲めないことから「恐水症」と呼ばれることもあります。

感染源
犬に咬まれて発症する症例が全体の9割以上を占めていますが、犬以外の動物からも感染が確認されています。たとえば、アライグマ、スカンクス、キツネ、コウモリなどの野生動物に咬まれることでも感染が成立します。北米では特にアライグマ、スカンク、キツネ、ヨーロッパではアカギツネが中心になっています。
通常、人から人へ感染することはありません。
世界の発生状況(2016年データ)

インドでは毎年約7,500人の感染が報告されています。狂犬病は、世界各地で流行していますが、特にアジアやアフリカの発展途上国での感染が多くみられています。
日本の発生状況(厚生労働省のデータより)
| 1953年 | 1954年 | 1955年 | 1956年 | 1970年 | 2006年 | |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 死亡者数 | 3人 | 1人 | 0人 | 1人 | 1人 (※1) | 2人 (※2) |
| 犬の発生数 | 176頭 | 98頭 | 23頭 | 6頭 | 発生なし 国外感染 | 発生なし 国外感染 |
日本国内では、人は昭和31年(1956年)を最後に発生がありません。動物では昭和32年(1957年)の猫での発生を最後に発生がありません。現在、日本は狂犬病の発生のない国です。
予防
予防には2つの方法が行われています。
1つは、ペットとして飼われている犬に対して狂犬病ワクチンを接種することです。
人での感染のほとんどは犬が感染源となっているため、犬にワクチンを接種することで十分な予防効果を持つことができます。
【生後91日以上の犬を飼っている方は、狂犬病予防注射(毎年度1回)を受けさせることが法律(狂犬病予防法)で義務付けられています】
2つ目は、人が狂犬病ワクチンを接種することです。
アジアやアフリカなどの発展途上国へ旅行する方や長期滞在する方は、接種することをお勧めします。
狂犬病ワクチン
狂犬病ワクチンは1回のみではなく、基本的に3回接種する必要があります。
WHOでは、少なくても2回の接種を推奨しています。
【接種間隔】
1回目 ⇒(4週間後)2回目 ⇒(6か月後~1年後)3回目
【料金】
狂犬病ワクチンは保険適用外のため、病院によって料金の差はありますが、
平均して1回あたり1万5,000円かかると言われています。
狂犬病ワクチンを接種希望の方は、予防接種実施機関を確認の上、渡航前に余裕をもって接種してください。

