消毒法
消毒とは、生存する微生物(細菌・ウイルス)の数を減らすために用いられるもので、必ずしも微生物をすべて殺滅したり除去するものではありません。
物理的消毒法
熱水消毒法
熱水や蒸気を用いて65~100℃の温度で処理する方法は、有効で安全かつ経済的な消毒法とされています。例えば80℃10分間の処理により、芽胞を除くほとんどの細菌、結核菌、真菌、ウイルスを感染可能な水準以下に死滅または不活性化することができます。
一般に処理温度が高ければ高いほど処理時間は短いが、その温度、時間条件は国によって規定が異なっています(表1)。日本においては80℃10分間が基本条件となっており、「消毒と滅菌のガイドライン」では表2のような処理条件が規定されています。
表1 各国の熱水消毒の条件

表2 日本における熱水消毒の条件

煮沸消毒法
煮沸消毒は、水を沸騰(85℃以上)させた中に、耐熱性のある物を入れて1分間以上煮沸させる方法です。主に調理器具やふきん等の消毒に用いられ、芽胞を持たない病原菌は、死滅させることができると言われています
化学的消毒法
①主な消毒薬
化学的消毒法に用いる主な消毒薬には表3のものがあります。
表3 化学的消毒法に用いる消毒薬
| 高水準消毒薬 | グルタラール、フタラール、過酢酸 |
|---|---|
| 中水準消毒薬 | 次亜塩素酸系(次亜塩素酸ナトリウムなど) ヨードホール・ヨード系(ポビドンヨード、ヨウ素など) アルコール系(エタノール、イソプロパノールなど) フェノール系(フェノール、クレゾールなど) |
| 低水準消毒薬 | 第四級アンモニウム塩(ベンザルコニウム塩化物、ベンゼトニウム塩化物など) クロルヘキシジン(クロルヘキシジングルコン酸塩) 両性界面活性剤(アルキルジアミノエチルグリシン塩酸塩など) |
②消毒薬の効力
消毒薬の作用機序はあまり解明されていませんが、その主な機序は微生物の細胞壁、細胞質膜、細胞質、核酸などに対する化学的な反応(酸化、凝固、重合、吸着、溶解など)に起因すると考えられ、その使用濃度、作用温度、作用時間などにより効力は変化します。通常、濃度が高いほど、温度が高いほど、時間が長いほど効力が増大するが、消毒薬の種類によってはあまりに濃度が高いとかえって効力が減弱する場合があります。
アルコール消毒法
一番手軽にできる消毒法になります。
ウイルスは「エンベロープウイルス」「ノンエンベロープウイルス」の2種類にわけることができます。
エンベロープとは、ウイルスに脂肪・タンパク質等などの成分からなる膜があるウイルスです。この膜はアルコールで破壊することができ、膜が壊れるとウイルス本体を破壊することができます。代表的なエンベロープウイルスは、コロナウイルス、インフルエンザウイルス、風疹ウイルス、エイズウイルスなどがあります。
ノンエンベロープウイルスは、エンベロープ(膜)がないウイルスです。一般的に熱やアルコールに強く、感染力も強いと言われています。代表的なウイルスにノロウイルス、ロタウイルス、アデノウイルス等があります。胃腸に関する感染症が多いのは、胃酸や腸管の胆汁酸にも抵抗できる力があるためです。
アルコール消毒を実施する場合は、消毒用エタノールを用います。
エタノールは、濃度が76.9~81.4v/v%のものを選択します。概ね80%前後の濃度が最も消毒効果が高いと言われています。
他にもアルコールの中で70%イソプロパノールも手指の消毒に用いられますが、こちらは消毒用エタノールに比べて毒性が強く、手が荒れやすいため消毒用エタノールの使用をお勧めします。
次亜塩素酸系の消毒法
次亜塩素酸系の消毒法は、ノンエンベローブウイルス(ノロウイルス等)にも有効とされています。食器・手すり・ドアノブなど身近な物の消毒には、アルコールよりも、熱水や塩素系漂白剤(ハイター・ブリーチ)が有効です。
使用する際は、濃度 0.05% に薄めた上で使用します。
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