女性は特に知っておきたい感染症】ヒトパピローマウイルス(HPV)
はじめに
ヒトパピローマウイルスは、性経験のある女性であれば50%以上が感染していると言われるウイルスです。近年の研究では、子宮頸がんを始め、肛門がん、膣がんなどのがんや尖圭コンジローマ等多くの病気の発生に関わっていることが示されています。特に、近年若い女性の子宮頸がん罹患が増えていることもあり、問題視されているウイルスの一つです。
ヒトパピローマウイルス(HPV)とは?
ヒトパピローマウイルス(HPV)は、性交渉によって感染するウイルスですが、性活動が多様な人に特有のウイルスというわけではなく、誰にでも感染する可能性があるウイルスです。HPVに感染すると、それをきっかけにしてがんや性感染症が引き起こされることもあります。ヒトパピローマウイルス(HPV)にはおよそ200の種類があり、がんと関連のあるハイリスクタイプは13種類、そのなかでも特に発がんに至りやすいハイリスクタイプ2種類存在しています。

ヒトパピローマウイルス(HPV)が引き起こす疾患
子宮頸がん
肛門がん
咽頭がん
外陰がん
陰茎がん
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスに感染したからといって、すべての方が子宮頸がんやその他のがんに罹患するわけではありません。ヒトパピローマウイルスは種類が多く、その中でも子宮頸がんのハイリスクとなり得るウイルスはおよそ15種類に絞られます。そのうえ、ハイリスクといわれるウイルスに感染していても、そこから子宮頸がんに発展する方は約0.15%といわれているので、実際に罹患する患者さんは非常にごくわずかです。
感染経路
HPVは膣性交、肛門性交、口腔性交、または他の密接な皮膚と皮膚の接触 を介して感染します。HPV感染は性的パートナー間で起こります。コンドームはHPV感染の可能性を減少できるとはいえ完全に予防することは難しいと言われています。
基本的には性交渉以外の接触感染、飛沫感染、空気感染をすることはありません。たとえばドアノブに触れたり風呂やプールに入ったりしても感染はしません。
子宮頸がんの発生状況

2009年には子宮頸がん(上皮内がんを含む)罹患数は、約3万2,500人の患者が報告されています。子宮頸がんの死亡者数は年々増加しており、早期発見・治療の重要性が高まっています。

症状
子宮頸がんは初期の頃にはほとんど症状のないことが多いですが、生理のとき以外の出血や性行為による出血、おりものの増加などが見られることがあります。また、進行した場合には、足腰の痛みや血の混じった尿が見られることもあります。このような症状がみられた際には、ためらわずに医療機関を受診してください。
検査・治療
トパピローマウイルスに感染すると、ウイルスが自然に排除されることもありますが、そのままとどまることもあります。長い間排除されずに感染したままでいると子宮頸がんが発生すると考えられています。

子宮頸がんの好発年齢は20~40代と言われており、特にこの年齢の方は子宮頚癌検診(子宮頸部細胞診)を受けることが重要になります。最近ではHPVが子宮頚癌の原因であるという概念から、子宮頸がんの検査だけでなく、HPV感染の有無をも検査しています。
予防接種の効果
子宮頸がん予防ワクチンは、子宮頸がん全体の50~70%の原因とされる2種類のヒトパピローマウイルス(16型と18型)などに予防効果をもつワクチンです。このワクチンを接種することで、16型と18型の感染やがんになる手前の異常(異形成)を90%以上予防できると報告されています。
子宮頸がん予防ワクチンは、3回の接種が必要です。子宮頸がんのワクチンは2種類あり、それぞれの種類により接種間隔が異なっています。法に基づく標準的な接種は、中学1年生の女性です。
まとめ
子宮頸がんのリスクを減らすには、HPV予防接種とがん検診を実施することが効果的と考えられています。現在、子宮頸がんワクチンは、接種後の持続的な疼痛が複数報告されたことから、「定期接種を積極的に勧奨すべきではない」という判断に至っています。ですが、予防接種を受けることで子宮頸がんを高い確率で予防することができるため、対象年齢の方は家族で検討してみることが大切です。

